NGSを活用する際の注意点

 前回の「次世代シーケンサー(NGS)とは」「NGS解析の仕組み」の続きです。NGSの解析を実際に行うには、実験計画と前回お話した2次解析であるドライの計画をしっかり立てることが重要です。

NGSを使う際の実験計画

 NGSはDNAがあれば塩基配列を読んでくれるのと、低価格化で気軽に使えるようになったため「とりあえず読んでみた」ということが可能です。
ですが、実際に解析するには目的に沿った条件をそろえる必要があります。

  • 適したシーケンサー
  • 適した手法
  • 必要なサンプルセット

 得たデータをどのように使うか。例えば、データセットをどのように組み合わせたら何がわかるだろうかということをイメージする。シーケンサーの機種の特徴とアプリケーションはデータ解析のロジックにあっているか。データ解析まで予算の計画ができているか。といったことが必要です。弊社ではウェットからドライまで、ご相談いただけます。

2次解析の計画

 コンピュータが「高速」で「自動」に結果を出してくれるものではありません。

計算処理にかかる時間
 NGSで得られるデータは、普段コンピュータが処理しているよりもはるかに巨大なサイズのため、時間の消費があります。場合によってはニュースで見るような計算用コンピュータが使われることもあります。
 2次解析だけで、最低でも2-3カ月、長ければ半年以上となります。
計算のフロー
 NGSデータ用に研究開発された計算ツールは多くあります。最初から最後まで自動化されたツールというものはなく、「この条件の時に使用する」といった目的をもって作られています。そのため、どのツールを使うか、実験目的に適した使い方になっているか、といった模索が必要です。多くは複数のツールを使うため、この処理の結果はどうだったか、といった段階ごとの結果の確認が必要です。ツールがない場合はプログラムを書くといった専門的な手法も考えられます。
 計算には生物学的な知識も入るため、生物学と情報科学の両方を理解できる人材がベストといえます。また、その人材が計算の試行錯誤を行う労力を払うこととなります。

NGSを簡単に使う方法

 現在は、解析の一部または全部を委託するサービスがそろってます。ウェブを検索するとたくさんの提供機関が出てきます。

予算について

 NGSの解析は多岐にわたるため、解析によって金額は大きく変わります。例えば、NGSで配列を読む際は、データ量、生物種、サンプル数、解析の種類等で変わります。以下のような情報があると委託がスムーズになります。

  • 解析する生物種
  • サンプル数
  • 想定の配列解析のアプリケーション
  • 想定の配列解析の方法
  • ゲノムや遺伝子データベースの存在の有無
 NGSは研究手段として一般的なものとなってまいりましたが、全てを自身で行うとまだまだ大変な部分も多くあります。ですが、計画さえ立てれば作業自体は相談できる先が多くございます。是非NGSを利用してみてください!